国際交流研究科

国際交流専攻 修士課程

Master's Program in International Studies 新宿キャンパス

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国際交流研究科主催 第3回公開講演会「食のグローバル化と国際協力~フェアトレードを考える~」を開催しました

パネルディスカッション
パネルディスカッションの様子

7月15日(土)、大学院国際交流研究科主催第3回公開講演会「食のグローバル化と国際協力~フェアトレードを考える~」(共催:社会学部地域社会学科)が開催され、本学学生・教員と一般の方々を併せて95名の参加がありました。今回の講演会は、私たちにとって最も身近な食の問題を取り上げ、これをフェアトレードの視点から考えてみました。
今日先進国では、食のグローバル化に伴い、たくさんの食品が世界の国々、その多くは途上国から、それも非常に安い価格で食卓に届けられています。しかし私たちは、そうした食品の価格や見た目にはこだわりますが、その生産者がどのような生活環境や労働条件のもとにおかれているかなどは、ほとんど考えることがありません。一方、フェアトレードとは「公平な貿易」、つまり途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することで、経済的にも社会的にも弱い立場にある生産者や労働者の生活改善と自立支援を目指す、新しいコンセプトの貿易(オルタナティブトレード)の仕組みと言われます。そこで今回は、こうしたフェアトレード(オルタナティブトレード)の実践に独自の仕方で携わっているパルシステム生活協同組合連合会の髙橋宏通広報本部長と特定非営利活動法人APLAの吉澤真満子事務局長を講師としてお招きし、ご講演いただきました。
髙橋氏からは、まずフィリピンのバナナ・プランテーションにおける農薬の空中散布と住民の健康被害の実態を伝えるドキュメンタリー・フィルムを見ながら、食のグローバル化と経済システムの中で、安全性が軽視され人々の健康が脅かされている現状が紹介されました。またそれに代わる「安全安心」「環境保全」「相互互恵」を基本とするパルシステム独自の「国際産直」の取り組みが提案されました。吉澤氏からは、バナナを事例にさらに詳しく、フィリピン・ミンダナオ島のバナナ・プランテーションと、農薬のリスクに曝される生産者の生活、そしてそれに代わるフィリピン・ネグロス島の農薬を使わずに栽培されるバランゴン・バナナと、地域との交流により次世代農民の育成をサポートする取り組みが紹介されました。またモノを通じて、作る人と食べる人をつなぎ、支え合う関係をつくる「民衆交易」の取り組みが提案されました。
講演に続いて、国際交流研究科で「国際協力研究」の授業を担当する廣重剛史専任講師(社会学部社会情報学科)も加わり、3人のパネラーとフロアの参加者を結ぶパネルディスカッションの形で、食のグローバル化と国際協力の可能性について議論を深めました。廣重専任講師から、髙橋氏には生産者と消費者の交流を深める取り組みや、吉澤氏には現地の人々との関係を築くことの苦労などについて質問があり、またフロアの学生たちからも積極的に質問が出されました。最後に、どうして「この世界に入ったのか」との質問には、お二人とも、学生時代のエコ活動(髙橋氏)や留学体験(吉澤氏)から、社会に対して問題意識をもったことがきっかけですと明確に答えられていたのが印象的でした。

今回、髙橋氏と吉澤氏の講演を聴いて、学生たちからは「農薬の被害の深刻さを知らなかった」「食品は安全安心なものを選びたい」「生産地や生産者のことを考えて買いたい」といった感想も。食のグローバル化と国際協力についての理解も深まり大変有意義な時間を過ごすことができたようです。

  • 髙橋氏
    髙橋氏の講演
  • 吉澤氏
    吉澤氏の講演