言語文化研究科 英語・英語教育専攻

研究科長・専攻主任 教授

時本 真吾 Tokimoto Shingo

大学院教育の目標: 独創性の開拓

大学院生にとって最も重要な資質は独創性です。知識や技術は労力を惜しまなければ誰にでも習得できますが、未知の困難な状況で将来を切り開いていくのは独創性です。ですので、あらゆる機会を捉えて、新しい発想・アイディアを出す訓練をしていきます。

ただし、既存の知識や技術を越えた新しい思想が独創性ですから、独創性発揮のためには現状認識としての知識と技術の習得が不可欠です。基本的文献をしっかり読むことから始めなければなりません。

専門領域について

私の専門領域は理論言語学と実験心理学です。本研究科には留学生が多いので、母語と英語・日本語との比較・対照をテーマとする修士論文を多く指導してきました。漢字指導法の提案など実験的手法を用いた日本語・英語教育学の修士論文指導が少なくありませんが、直観を一次資料とする理論的研究についても相応の経験がありますし、特定の言語や理論的枠組みに執着も無いので、英語統語論、日韓対照言語学、日英中比較・対照統語論など専攻を超えた論文指導に携わっています。

私の本来の得意分野は、理論言語学と実験心理学を背景に言語知識の構造と運用機序を問う実験的研究です。私の実験は、統語論・意味論・語用論に根ざす理論言語学的要因と単語親密度・使用頻度、ワーキングメモリ容量等の心理学的要因を同時に操作する学際性に特色があって、多様な応用場面を想定した言語研究に有益な示唆が得られると思います。

実験手法としては、質問紙、文・文章の視覚・聴覚提示に対する反応時間や理解精度を測定する行動実験、実発話の音声解析、また文・文章の視覚・聴覚提示が惹起する事象関連電位を測定する生理実験に経験があります。数学的処理の手法については、検定、分散分析、共分散分析、相関分析、重回帰分析、分割表によるカイ二乗分析等に実績があります。大学院生の専門家・研究者としての自立を念頭に置いた場合、たとえ質問紙やパソコン1台であっても、刺激や設計を工夫すれば独創的な成果を生み出せる余地はまだまだあるので、実験ソフトウェアの操作技術や解析手法の習得は有益だと考えます。また脳波計測装置はかなり高価なので入手が難しいとしても、実験に携わることで、将来の共同研究の可能性が広がることも考えられます(時本の詳しい研究内容については http://homepage2.nifty.com/s-tokimoto/tokimoto-top.html を御覧ください)。

研究成果の発表について

功罪はありますが、学界における国際標準語は事実上、英語ですので、院生の研究成果も英語で発表することが望ましいと考えます。学会発表、論文執筆の両者について海外での英語の発表を奨励します。ただし、基礎的な母語の力が広範な学習と研究を支えていますので、まず正確な母語の使用を求めます。

研究環境と進路指導について

大学院生は自身の能力や将来に大きな不安を抱えています。加えて、最近の研究職不足は若い研究者の研究を一層困難にしています。不安に押しつぶされ、能力が発揮できなかったり、勉強を続けられなくなることも珍しくありません。若手研究者の就職難は簡単には改善されませんが、まず大学院生が安心して勉強を続けられる環境を作ることに努力します。