生涯福祉研究科 生涯福祉専攻

2014年度修了(大学教員)

野田 日出子 さん

キャリアアップ 研究・実践 社会人
保育現場の多様な課題の解決に向けて

幼稚園教諭として現場で経験を積む中で、子どもを取り巻く環境のさまざまな変化を日々感じていました。生涯福祉研究科では保育と社会福祉を同時に学べるため、子どもたちや保護者への社会の変化に伴った支援について、幅広い知識を身につけることができます。先生方の多岐にわたる専門性により、実践だけでは得られない、高度な知識と新たな気付きを得られたことも貴重な経験です。また授業や研究を通して、これまでの保育現場での実践を意味づけることもできました。論文執筆においても、本格的な研究が初めてだったため、先生方に一つひとつ丁寧に教えていただき、心より感謝しています。

幼稚園から小学校への連携に着目

幼稚園から小学校へと送り出した子どもたちが、小学校において伸び伸びと自己表現・自己発揮ができずに躓いてしまうケースがあり、実際に保護者からの相談を受ける機会がありました。幼稚園と小学校で教育目標や教育課程、教育方法など、教育文化において多くの違いがあることは明らかになっています。その一方で、子どもたちの個人差に対して幼稚園と小学校のそれぞれの教師による捉え方の違いは検証されていません。今後の幼小連携に関する重要なテーマになると考えて、研究を進めていきました。 研究方法としては、就学前から就学後にかけて子どもの姿を縦断的に追い、直接的に関わっている幼稚園・小学校教師にインタビューを行いました。同じ子どもの個人差を各教師がどのように捉えているか、特徴・共通点などに関する教師の語りに焦点を当て、教師の主観を通して両者の捉え方の違いを考察し、論文にまとめました。

学生の指導を通して子どもたちを支援

修了後は大学や短期大学において、幼稚園教諭・保育士を目指す学生の指導を行っています。幼稚園教諭免許や保育士資格の取得に必要な科目、ピアノ実技、実習指導、ゼミなどを担当しています。授業の中で幼小連携にふれる機会があり、大学院での研究を踏まえて学生に伝えることができています。また、今後は指導した学生が卒業して保育現場に立ち、子どもたちを小学校へ送り出したあとの小学校との連携や交流など、課題にぶつかることがあると思います。そのときには卒業生と共に悩み、情報交換をすることで子どもたちの支援に繋げていきたいと考えています。また、保育と音楽教育の各学会に所属していますので、この二つの領域を軸に今後も研究に取り組んでいきたいです。