生涯福祉研究科 生涯福祉専攻

2015年度修了生(華東師範大学大学院博士後期課程 進学)

張 帆さん

研究・実践
母国に貢献するため日本で社会福祉を学ぶ

中国の大学で日本語を勉強し、より実践的な語学力の習得のため、来日しました。当初は日本語の翻訳や通訳を学び、ツーリズム産業や貿易関連の仕事を目指していましたが、キャリアにおける専門性の修得を考えた時、日本ならではの学問を究めて母国に貢献したいと思うようになりました。中国では急速な高齢化が問題となり、早急な福祉環境の充実が求められていますが、地域格差があるなど、環境整備が遅れています。一方、日本の社会福祉は歴史があり、対象の年代や領域ごとに細分化された社会福祉制度ならびに福祉サービスなど、環境が充実しています。日本の社会福祉を学んで母国に貢献するために、大学院で社会福祉を学ぼうと決心しました。中でも目白大学大学院生涯福祉研究科は、実践での経験が豊富で幅広い領域を専門とする先生方が教鞭をとっていること、一生涯を網羅した社会福祉を多角的に学べることに魅力を感じ、進学を目指しました。

理論と実践を相互に学び深い理解へ

生涯福祉研究科に進学して、幅広い科目を履修し、先生方の熱心なご指導の下、充実した学びの日々を過ごせました。とくに精神保健福祉分野が専門で修士論文を指導していただいた井上牧子教授には、参考文献から日本語表現に至るまできめ細かく指南いただき、修士論文にまとめることができました。そのほか、相談支援などの実践的な対人援助技術についてもご指導いただきました。
社会福祉の現場で働く社会人の同級生と共に学ぶため、職場での課題に関するレポート発表や実践的な視点からの発言など、常に現場を意識した授業が印象的でした。また同級生の職場で見学やアルバイトをさせてもらったことは、現場を知る貴重な経験です。ご本人の援助だけでなく、ご家族のサポート、生活面・経済面の支援に向けてお手伝いし、関連施設の担当者と関わる機会も得られました。その中で、現場で求められる幅広い視点を深く理解できたと感じています。

生涯福祉研究科で得た知見をさらに究めたい

修士論文は、中国におけるソーシャルワークの教育制度と現状の課題をテーマに執筆。中国でソーシャルワーク実習教育を実施する大学の調査を行いました。学生の資質、教員の専門性、現場での実習はなく学内実習のみであるなど、多くの課題が見受けられました。論文執筆にあたって中国の社会福祉に関する文献を多数読んだことから、地方の実情や特徴など、より深く学びたいという思いが生まれ、上海の華東師範大学大学院博士後期課程に進学。私の出身地の中国・東北地方は、とくに高齢化が深刻なため、早急な社会福祉サービスの導入に貢献することが目標です。研究では領域ごとに発展している日本の社会福祉サービスを中国でいかに活用するか、日本と中国を比較しながら検討を進めています。現在、中国で研究を続けられているのも、目白大学大学院で多面的に社会福祉を学んだからであり、実践に基づく理論を修得できたからだと感謝しています。