言語文化研究科 英語・英語教育専攻

専任講師

岡島 慶 Okajima Kei

アメリカ研究のトランスナショナルな学問的射程

私が専門とする分野は、「アメリカ研究」と呼ばれる分野です。近年、その帝国主義の歴史や軍事化したグローバリゼーションを鑑みて、「アメリカ」という国家を考える際の学問的射程が拡大しており、グローバルかつトランスナショナルな視点から「アメリカ」のあり方を考える学問的アプローチが急速に立ち上がっています。4年ほど学んだアメリカの大学院では、こうした新しい学問的アプローチに触れ、アメリカ国内の事象に留まらず、「移動」や「越境」をキーワードに、エスニック・マイノリティ、特に黒人の歴史、文学、文化研究を行うようになりました。私の興味の対象は、20世紀の英語圏黒人文学に拡がり、最近では、ナイジェリア出身で主にアメリカで精力的に活動しているクリス・アバニやチママンダ・ヌゴチ・アディチといった新世代のディアスポラ作家ともいうべき作家の活動に注目しています。また、ジャンルの「横断」として考えると、オクタヴィア・バトラーやネディ・オコラファといった黒人SF作家にも強い興味を持っています。

生政治とポスト・コロニアル批評

もちろん、文学作品を分析する際の大切な手助けとなり、また、それ自身が独立した学問領域でもある理論や批評書を読むこともします。もともとフランツ・ファノンなどのポスト・コロニアル批評の古典的なものを読んでおりましたが、最近は、我々が生きている現代社会の喫緊の課題となっている生政治の理論体系に関心を持っています。とりわけ、生政治とポスト・コロニアリズムが交わる領域で仕事をしている思想家を好んで読みます。例えば、主に2000年以降のジュディス・バトラーやポール・ギルロイ、アチール・ムベンベなどの仕事です。

「基礎体力」をつけること

私の修士時代を振り返ると、難解な文学作品や理論書の壁にぶつかり、何時間かけても理解できない、または理解できた気にすらならない英文と格闘していました。指導の先生に言われた言葉を今でも覚えています。「難解な英文を読み続けることは『筋トレ』と同じだ、壁に当たっても繰り返し続けることで、いずれ重い文章も理解できるようになる」。大学院の修士時代は、とりわけ、インテレクチュアルな基礎体力をつけること。まずは、これが重要です。これはアメリカ文学研究に限らず、どんな学問にも共通する大切なスキルだと思います。「筋トレ」を怠らず、頑強な知的体力と好奇心を育んでください。その一助となることができれば幸いです。