看護学研究科 看護学専攻

2016年度修了(国立研究開発法人 国立がん研究センター東病院 看護師)

河嶌 夏來 さん

研究・実践 社会人
終末期がん患者さんの在宅移行の希望をかなえるために志した研究

臨床現場で勤務している際、在宅医療を希望している終末期がん患者さんが、帰るタイミングを逃し病院で亡くなるケースを多く経験しました。医師と看護師が患者さんの希望を共有し、共働することで、患者さんの希望をかなえることができるのではないかと考えるようになり、「終末期がん患者の在宅移行期における医師と看護師の共働に関する現状と課題」について研究を志しました。

研究では、医師と病棟看護師を対象に調査し、各データの比較分析を行ったところ、医師と看護師の間に在宅移行支援全体の評価や認識のずれがあること、情報共有が不足していること、看取りを意識した関わりができていないこと、在宅移行支援や緩和ケアに関する医師・看護師への教育の必要性が明らかになりました。今後の課題として、率直に意見を交わすための互いのコミュニケーションスキルの向上と、医師と看護師間での関係性の構築の必要性が示唆されました。

研究と臨床が結びつく社会人ならではの経験

修士課程1年生の頃は非常勤看護師として勤務していたため、ある程度時間の融通が利き、修了に必要な単位の大半を1年生のうちに取得することができました。2年生になった4月から現在勤務している病院に就職。新しい環境で働きながら、本格的に研究を実施し、論文をまとめるという慌ただしい日々でしたが、社会人学生として、研究と臨床を関連付けられる環境であり、また、思考の仕方やものの捉え方の幅も広がり、有意義だったと感じています。

大学院での学びと出会いを発展させる

授業では、異なる専門分野の先生方からそれぞれの視点で、助言や、時には厳しい指摘をいただき、滞りなく研究を進め、論文を完成させることができました。また、同じ看護職としてさまざまな経験・立場を有する同級生との出会いは、自身の看護職としてのあり方や生き方に、大きく影響を与えられるものとなりました。大学院進学まで看護研究にふれる機会がなく、研究を進める中で戸惑うこともありましたが、同級生同士でディスカッションするなど、助け合いながら乗り越えることができました。今でも連絡を取り、情報交換を行っています。

現在は、サポーティブケアセンターという部署で入退院に関わる支援をしています。具体的には、入院前の患者さんやご家族が安心、安全に治療に臨むことができるように面談を実施したり、退院支援看護師として、患者さんやご家族が希望する療養の実現のために、病棟の医師・看護師やそのほかの多職種と協働して支援したりしています。これからも知識・技術を一層発展させ、臨床現場や社会への還元に努めたいと考えています。