外国語学部

日本語・日本語教育学科

Department of Japanese and Japanese Language Education 新宿キャンパス

グローバル・ナレッジシリーズ

第31回「カカオ産地との協働から生み出す新たなチョコレートの価値」

  • カカオ産地との協働から生み出す新たなチョコレートの価値1
  • カカオ産地との協働から生み出す新たなチョコレートの価値2

7月13日(金)、外国語学部日本語・日本語教育学科専門科目の「国際理解教育」で、Minimal -Bean to Bar Chocolate- 代表であり、株式会社βace代表取締役の山下貴嗣氏をお迎えし、カカオの産地とのやりとりからチョコレート製品の製造・販売までのすべての行程に関わる「Bean to Bar」という業態を通じた、チョコレートの新たな価値の創出に挑んでこられた自身のご経験についてお話しいただきました。

授業では、山下氏にお持ちいただいた2種類のチョコレートの試食から、カカオの産地の違いで製品の味が全く違ってくることを皆で実感した後、一般の大量生産のチョコレートでは一次・二次加工メーカーで原料が混ぜ合わされてしまうところが、Minimalでは生産地と直接関わることで、カカオの個性を生かせる点が大きな特徴であることが話されました。そうした中で、「発酵文化や旬の素材を大切にする感性」といった、日本が得意とする食の側面がチョコレートづくりでも強みとなること、具体的にはそれが「引き算」という発想で製品に反映できることを山下氏は強調されていました。
山下氏が取り組んできた「チョコレートを新しく」する試みとして、チョコレートの製法、チョコレートの楽しみ方を新しくすることとならび、農家との関係性を新しくすることについて詳しいお話がありました。Minimalでのビジネスの具体的なあり方として、カカオ農家に原料価格の決定権を与えるシステムをつくることで農家との関係性を対等なものとしつつ、質の良い豆を作ることを通じて、結果的に「消費の充実、生産量の拡大、カカオの生産増」という三方よしの循環の輪を拡げていくことにつなげる取り組みをされていることが説明され、そこで大切なのは農家自身が生産と流通に関し選択肢を持ち、自分たちの生産物に自信を持つことなのだと山下氏は教えてくださいました。
海外でのお仕事で幾度か危険な目に遭いながらも、現地に足を運ぶなかで山下氏が学んだのが、取引では「相手を真に対等なパートナーとしてとらえ、誠実に信頼関係を作っていくことが、文化を問わず大切だということ」がBean to Barでの根底の考え方、とのお話に、グローバル社会で生きていくための大きなヒントをいただきました。 

学生の感想より

  • カカオの産地でここまで味が違ってくることに驚いた。
  • チョコレートづくりに日本人の細やかな感性が生きるというのは意外だった。
  • カカオ生産者のおかれた生活背景を知って、消費者としてどこにお金をつかうべきかを考えさせられた。
  • これまで知らなかった現地の人との関係のお話などから、ものごとをさまざまな視点から見ることが大切だということを学んだ。
  • 自分も狭い選択肢にとらわれず、海外で働くことを含めていろいろなことにチャレンジしていきたい。