外国語学部

日本語・日本語教育学科

Department of Japanese and Japanese Language Education 新宿キャンパス

グローバル・ナレッジシリーズ

第34回「和楽にみる日本文化の歴史とこれから」

7月11日(木)、日本語・日本語教育学科専門科目「日本の言語と社会1(日本事情)」の授業に尺八演奏家の籔内洋介氏をお迎えし、和楽の歴史と現代とのつながり、籔内さん自身の和楽との関わり方などについてお話しいただきました。
芸術大学卒業後しばらく東京に住んでいた籔内さんは、クールジャパンといった恣意(しい)的な日本の文化造成に違和感を抱き、日本伝統文化を見つめ直すべく故郷の奈良県に移りました。その後、演奏を含む日々の生活の中に日本文化を実践として取り入れる活動を今日まで続けられています。

講義では、古代から現代まで、天災と外圧が日本人としての意識形成の原理となってきたこと、祭祀(さいし)が古来より国防や政治と深く結びついており、特に政治的介入で行き届かない部分を文化政策が補ってきたことなどが話されました。
さらにお話は雅楽の発祥地とされる奈良における和楽の歴史にうつり、実は尺八を含む雅楽はシルクロードから流れてきたもので、奈良において初めてプロの演奏集団ができたとのお話がありました。さらに、その後の能楽の源流も奈良の数キロ四方の地に発しているなど、和楽の歴史において奈良という土地が重要な意味を持つとのことでした。
演奏家としてのお仕事の傍ら、こうした日本の芸能史をフィールドワークを通じ研究されている籔内さんですが、法要を含む舞台演奏だけでなく、楽曲制作、大河ドラマ内の芸能演出、ラッパーとのコラボレーションによるアニメのサウンドトラックの作成と、幅広く活動をされている様子が紹介されました。こうしたお仕事をされるうえで、籔内さんが日本文化の体系的な理解にもとづいて「実務」に徹することと、貨幣経済的な価値基準によらない物事のとらえ方を実践に反映させていくことを信条とされているとのお話が印象的でした。

授業の最後に、ご持参いただいた尺八を使った演奏をしていただきました。「獅子」という短い曲でしたが、もの悲しさとともに力強さを感じる美しい生演奏の音色に、心を揺さぶられた学生が多かったようです。

学生の感想より
  • 和楽が国の歴史、政治と深くつながっているのだとわかった。
  • 尺八の演奏を生で聴くのは初めてだったが、とても深く心に刺さる感じがした。
  • 和のイメージのあった尺八でさまざまなジャンルとのコラボがあると知って驚いた。
  • 籔内さんのように広い視野を持つことで、様々な時代や事物への興味を持てるのだと思った。
  • 自分が学んだことを別の着地点に向けて生かしていくこともありなのだと学んだ。