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耳より小話【その5】

嗅覚障害

新型コロナウイルス感染の後遺症として嗅覚障害があることはみなさんご存知だと思います。
しかし新型コロナウイルス以外の風邪や頭部外傷でも嗅覚障害は起こります。

嗅覚障害の原因

主に3つに分類できます(複合タイプもあります)。

  • 1)鼻が詰まっていて匂いの成分が届かない
    アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎で鼻が詰まった状態になると匂いの成分が鼻の奥にある嗅神経細胞(匂いをキャッチする細胞)に届きません。鼻鏡・鼻内視鏡・鼻C T検査などで異常があります。
  • 2)嗅細胞が障害されている
    風邪のウイルスによる障害や外傷が原因になります。鼻鏡・鼻内視鏡・鼻CT検査では鼻のなかは正常です。
  • 3)嗅覚を処理する脳の異常
    外傷の脳挫傷、脳腫瘍・脳梗塞、アルツハイマーやパーキンソン病でも起こります。鼻のなかは正常です。
嗅覚障害の診察
  • 1)鼻鏡・鼻内視鏡・鼻CT検査などで鼻の中に異常がないか診察します。
  • 2)嗅覚検査:アリナミンテストで嗅覚低下があるか検査します。複数の匂いについて調べる「T&Tオルファクトメーター」という方法もあります(当院では行っておりません)。
嗅覚障害の治療
  • 1)鼻の中に異常がある場合はまず鼻の治療を行います。
  • 2)鼻の中に異常がない場合は神経の回復を促すビタミンB12、当帰芍薬散などの漢方薬、ステロイドの点鼻治療を行います。
  • 3)嗅覚リハビリテーション
    嗅覚刺激により嗅細胞の再生と嗅覚を処理する脳のつながりを回復する方法です。
    現在、湿布・パイナップル・バニラ・ココナツの4つのにおいを使ったリハビリテーションの臨床研究が行われています。
    他の匂いでもかまいません。準備しやすい匂いを1日2回以上、嗅いでみましょう。

自分でできる「嗅覚リハビリテーション」
イラスト

4種類くらいの異なる匂いを準備する。

例:カレー粉、洗濯洗剤・柔軟剤、整髪料、
インスタントコーヒーなど 身近にあり、
ふたを開けてすぐに匂いが嗅げるものが便利です。
最初は、よく知っている匂いで強めのものを選びましょう。

  1. 「○○の匂い」と確認してから、10~15秒嗅ぐ。
    (長く嗅がないこと→慣れてわからなくなるため)
    (「なんの匂いか?」というクイズにはしない)
  2. 1日2回以上行う
  3. 3〜4ヶ月は諦めずにやってみる
  4. 分かるようになったら、別の匂いに変える

嗅神経細胞には再生能力があり、嗅覚刺激を与えるとより再生能力が高まります。鼻が詰まっていると再生能力が低下しますので、まずは耳鼻科で鼻詰まりがないか診察を受けましょう。