新宿図書館

第2回 読書ディスカッション

読書推進プログラムの番外編として新宿図書館主催の「読書ディスカッション」が企画・開催されました。
各自題材となる図書を読み解いた上で、学生と教職員が世代を越えて議論するというものです。

「読書ディスカッション」第2回目

【日時】 平成23年12月20日(火)
【会場】 早稲田大学国際会議場
【題材】 『君たちはどう生きるか』吉野源三郎著(岩波文庫)


  • 「読書ディスカッション」第2回目
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 学生諸氏とシニア社会学会メンバーとの「読書ディスカッション」が、予定通り実施されました。11月29日開催の学内ディスカッション参加の学生諸氏が待ち望んだ「他流試合」です。
  12月20日(火)18時30分、授業を終えた学生諸氏と図書館長、学術情報グループマネジャーが早稲田大学国際会議場に、勇躍、赴きました。そこでは、経営学部安田教授が、準備を整えておいて下さり、シニア社会学会会員の方々が温かくお迎え下さいました。
 今回のディスカッションは、「ワールドカフェ」スタイルということで、各テーブルに6~7名が着席し、題材の『君たちはどう生きるか』をめぐって、各自の思いを順に語ります。
 その際、「言いっぱなし」「聞きっぱなし」にならぬよう、卓上の模造紙にメモをとり、また秩序を守るため、スピーチオブジェクト(今回は片手に納まるボール)を順に手渡しながら発言することになります。
 学生は年齢相応の若い感性を吐露し、社会の第一線で活躍されあるいはリタイアされたシニア社会学会の方々は、豊かな経験を踏まえた、含蓄のある発言をなさいます。
 20分以上、存分に語り合った後、ファシリテーターを努めた安田教授の合図で、各テーブルに1名だけが「伝達役」として止まり、他のメンバーはそれぞれ、別のテーブルに分散移動します。その時、「伝達役」が卓上に残されたメモを生かし、「ここでは何が議論されたか」を説明し、また異なるメンバーで語り合います。
 再度、議論が深まったところで、各テーブルのまとめ役が議論を総括する段階に進みます。 この総括が、また、テーブルごとに大いに異なるものでした。 『君たちはどう生きるか』がいかに多くの内容を含むものであるか、読み取るべき点がいかに多いか、の証明といえるでしょう。かつて中学校の国語教科書に採用され、今でも版を重ねており、あらゆる年代の要請に応えられる名著です。
 同時に、発表当時の社会情勢に思いを致たせば、「時代と思想」の関係も無視できない、とにかく「読み応え」のある1冊といえます。
 あるテーブルでは、本文中で言及されるナポレオンに関連して、リーダーに求められるものは「真の勇気だ」という結論が、別の、目白大学生がまとめ役を務めたテーブルでは、冒頭部分の「人の網目」を中心に、「人が生きる上でのつながりの大切さを考えた」という経過が報告されました。
 総括後、学生諸氏と大学側出席者が一言ずつ感想を述べました。学生諸氏は、いささか高揚した表情で、全員が参加して良かったと語りました。その他の発言は、以下のとおりです。

  • 安田教授:
    目白の学生にとって、年長者と存分に語り合える、有益な機会となったことがうれしい。
  • 図書館長:
    『君たちはどう生きるか』にはこのように多様な読み方がある。読書会の意義は大きい。
  • マネジャー:
    まとめ役を務めた学生を含め、全員が堂々としており、目白の学生を、改めて頼もしく感じた。

 シニア社会学会会員の方々も、子どもあるいは孫世代の青年と、書物をめぐって語 り合うことは「ほとんどない」とのことで、「大学生大歓迎、次回が楽しみ」とおっしゃって下さいました。
 更なる発展を全員で期待しているところです。

図書館長 山西 正子