ハラスメントの防止について

1. ハラスメントの防止

ハラスメントは、人びとの人格権を軽視または無視する感覚が基盤となって起こる行為であり、明らかに人格権に対する重大な侵害です。
大学には、教育・研究機能を遂行するために、構成員個々の人格的尊厳を重んずる思想と共生意識とが強く要請されます。年齢・性・身分・国籍などの違いによって、差別的な取り扱いや不利益が生じないよう配慮することがとくに必要です。これによって、すべての構成員がそれぞれ研究・勉学や業務に励むことのできる学園環境が形成されます。
しかし、大学は、閉鎖的な一面を持ち、かつ、教職員、学生という上下関係の人的構成も含んでいることから、往々にしてハラスメントの起こる危険性をはらんでいます。
本学はこうした認識に立って、従来から、本学園におけるハラスメントの防止と処置のため、諸施策を講じ、「ハラスメントガイドライン」を設定して、相談窓口やハラスメント防止委員会を設置しています。詳細は、配布されるパンフレット、学内掲示及び学園公式サイトにより、周知します。
本学園を、すべての構成員が深い信頼関係で結ばれ、共生意識と真の相互研鏆意識に裏付けられた生き生きとした学習環境をするため、理解と協力をお願いします。

2. 目白学園ハラスメントガイドライン

平成20年4月1日制定
平成26年7月1日改正

(1) ガイドライン制定の趣旨

学校法人目白学園(以下「学園」という。)は、人権に関する法令の精神に則り、学園内におけるハラスメントを防止する。そして、すべての学生・生徒及び教職員(以下「構成員」という。)が対等な個人として尊重され、ハラスメントのない公正で安全な環境において、修学及び就労する機会と権利を保障することに努める。
また、ハラスメントの未然防止・根絶のために必要な教育・研修の機会を提供し、誰もが加害者にも被害者にもならないような修学・就労環境づくりに努める。
学園は、ハラスメントの苦情に対しては、学園内での適切な調査と慎重な手続きを経たうえで処分を含む効果的な対応を行う。

(2) 学園及び構成員の義務

学園は、ハラスメントに対して厳しい態度で臨み、快適な修学・就労環境を作るように努力する。そのために、学園は、「目白学園ハラスメント防止委員会(以下「防止委員会」という。)」を設置し、ハラスメントを防止することに努める。
防止委員会に関する規則は別に定める。
学園の構成員は、学園において、修学及び就労する機会と権利をハラスメントによって妨げられることがあってはならず、誰もが対等な関係を前提とし、相手の立場を尊重することに努めるとともに、そのような人間関係を損ない、人としての尊厳を傷つけることになるハラスメントを起こさないこと、また、これを防止することに努める義務を負う。

(3) ガイドラインの対象

① このガイドラインは、学園の構成員を対象とする。
構成員とは専任教職員(有期教職員を含む。)、嘱託職員、非常勤教員、リサーチ・アシスタント、ティーチング・アシスタント、アルバイトなど学園と雇用契約を結んでいるすべての者、また、出向、派遣、業務委託などにより学園に勤務する者、学生・生徒、科目等履修生、及び留学生を含む。

② このガイドラインは、ハラスメントが起こった場所・時間帯を問わず、適用する。

③ ハラスメントが構成員と学外者との間において問題となる場合にも、このガイドラインを適用する。但し、加害者が学外者であるときには、このガイドラインの手続きを準用し、学園として解決のために必要な措置をとる努力をする。

(4) ハラスメントの定義

このガイドラインでいうハラスメントは、「目白学園ハラスメント防止などに関する規則」第2条に定める。
主なハラスメントについて、具体的に説明すると、下記のとおりである。

A.セクシュアル・ハラスメント

① セクシュアル・ハラスメントとは、相手方の意に反する性的言動で、行為者本人が意図すると否とに拘らず、相手方にとって不快な性的言動として受け止められ、その言動への対応によって相手方に修学・就労条件面での不利益を与えたり、又は相手方が学園での修学・就労や教育研究環境を著しく損なうことをいう。
セクシュアル・ハラスメントには性的な言動への対応によって、相手方の教育研究条件、労働条件に不利益をうけるもの(対価型)と性的な言動により修学・就労、教育研究環境が害されるもの(環境型)がある。
環境型セクシュアル・ハラスメントに該当するかどうかの判断に当たっては、単に性的言動のみではなく、一定の客観的要件が必要である。

  • 意に反する身体的接触によって強い精神的苦痛を受ける場合には1回でも該当しうる。
  • 性的冗談、ヌードポスター掲示による場合などは、継続性または繰返しが要件となる。しかし、明確に抗議しているにもかかわらず改善されない場合、または、心身に重大な影響を受けていることが明らかな場合には、短期間でも1回でも該当しうる。
  • 「被害者と同性の者の平均的な感じ方」を基準とする。ただし、被害者が明確に不快であることを示しているにもかかわらず、さらに行われる場合はセクシュアル・ハラスメントと解されうる。

② セクシュアル・ハラスメントは、男性から女性に対してなされる場合のみならず、女性から男性への場合も対象となる

③ 上司と部下など、いわゆる上下関係にあるものの間で生じるのが一般的だが、同僚や先輩後輩の間でなされる場合も対象となる。

④ 同性間におけるセクシュアル・ハラスメント、ストーカー行為、相手方の意に反するその他の性差別的言動も対象となる。

B.アカデミック・ハラスメント

アカデミック・ハラスメントとは、教員等の権威的または優越的地位にある者が、意識的、無意識的を問わず、その立場や権限を利用、あるいは逸脱し、その指導を受ける者の研究意欲や環境を著しく阻害することになる、教育上不適切な言動、指導または待遇をいう。

  • 教員間で権限のある同僚による研究妨害などが該当する。
  • 教員と学生間で指導教員からの指導拒否、指導上の差別、不公平な成績評価などが該当する。
C.パワー・ハラスメント

職務上優越的地位にある者が、意識的、無意識的を問わず、その地位や権限を利用、あるいは逸脱し、その部下や同僚の就労意欲やその環境を著しく阻害することになる、不適切な言動、指導または待遇をいう。

  • 言葉によるもののみならず、多数の者の前で罵倒する、仲間はずれにする、昇進・昇給を妨害する、恣意的に業務を転換する、職務上必要な情報を伝えないなどの職務権限を利用した行為などが該当する。
D.モラル・ハラスメント

上司・部下、先輩・後輩など、なんらかの力関係において優位にある者が、自分より劣位にある者に対して、精神的な苦痛を与えるような行為をいう。

  • 肉体的な暴力でなく、言葉や身ぶり、態度などにより、他人の人権・尊厳を侵害する精神的な暴力・虐待などが該当する。

(5) 被害の訴えや相談の対応

学園は、ハラスメントを受けた構成員が安心して被害を訴えることができ、個人の秘密が厳守される相談窓口を設置する。被害の訴え及び救済の申し立てには、調査及び処置権限が与えられた防止委員会によって、迅速かつ適切に対応する。

(6) ハラスメント「相談窓口」

① ハラスメントの相談に応じるために、相談窓口として相談員を置く。ハラスメントを受けたと思う構成員は、相談員にいつでも相談することができる。。

② 相談員については、ハラスメント防止などに関する規則に定める。

③ 相談員の所属及び氏名は、毎年度初めに学園公式サイト、学生ネットサービス及び学園内に掲示する。
相談を希望する構成員は、所属にこだわらず相談しやすい相談員に直接連絡を取ることができる。また、直接・間接の被害を受けた構成員に限らず、第三者(家族、友人、知人等)が当事者に代わって相談することもできる。
相談員への相談は、面談、手紙、電話、ファックス及び電子メールのいずれでも、受け付けるものとする。なお、虚偽の申立てがあった場合には、相談員はその旨を防止委員会に報告しなければならない。

■相談員の任務
① ハラスメントに関する相談を受け付けなければならない。
② 相談員は相談者の悩みを親身に聞いて、相談者の受けた行為がハラスメントにあたるかどうかを理解することを手助けするとともに、今後とるべき方法(調停や苦情申立て)について、相談者が自分で意思決定するために必要な相談に応じる。
③ 相談員は、ハラスメントについて相談があった事実、相談者の意向などについて防止委員会に直ちに報告しなければならない。

■相談員の厳守事項
① 被害者及び加害者の名誉及びプライバシーなどの人権を侵害することのないよう慎重に対処する。
② 相談者の意向をできる限り尊重し、解決策を押し付けることのないように留意し、あくまでも、相談者の意思決定の手助けをすることにとどめる。
③ 被害者及び加害者への対応にあたっては、ハラスメントにあたるような言動とならないように充分に注意をはらう。

(7) 目白学園ハラスメント調査委員会

相談窓口の相談員から相談内容の報告を受けた防止委員会委員長は、防止委員会の協議を経て、調査の必要性があると判断した時は、ただちに調査委員を指名して「目白学園ハラスメント調査委員会(以下「調査委員会」という。)」を発足させる。調査委員会委員の氏名は委員長を除いて、公表しないものとする。調査委員会に関する規程は別に定める。
防止委員会委員長が調査を要しないと判断したときは、相談員は相談者に、カウンセリング機関の紹介など、必要なアドバイスを行うことができる。
調査委員会は、相談者の同意を得た上で調査を開始し、委員会設置の日から3ヵ月以内に調査を終了して、調査結果を直ちに文書で防止委員会委員長に報告しなければならない。報告を受けた防止委員会委員長は、直ちに防止委員会を開催し、その対応及び処置について審議しなければならない。

(8) 防止委員会委員長権限と理事長権限

防止委員会委員長は、防止委員会の審議結果に基づき、学園の諸規則による処分及び必要な処置について理事長に上申する。必要な処置には、加害者に対する再発防止のための教育・研修及び被害者に対する救済措置が含まれるものとする。被害者への救済措置には必要に応じて精神的な被害に対するカウンセリングを行うことが含まれる。
理事長は、防止委員会委員長の上申を受けて、加害者に対して速やかに必要な処置や処分をとらなければならない。

(9) 対応についての報告・不服申立

処置や処分の内容について、防止委員会委員長によって指名された者が、ただちに被害者に報告しなければならない。被害者は処分および処置内容に不服がある場合は、14日以内に防止委員会委員長に申立てを行うことができる。
また加害者が処分内容に不服がある場合、14日以内に防止委員会委員長に申立てを行うことができる。

(10) 手続きにかかわる者の義務と相談者および証言者の権利

相談員、防止委員会委員、調査委員会委員、理事長その他職務上情報を知り得た者は、当該事項について秘密を厳守しなければならない。
手続きにかかわるすべての学内機関及び委員は、相談及び訴えた構成員のプライバシーを尊重する義務を負うとともに、相談者及び証言者に対する二次被害を防止する義務を負う。
被害者及び証言者は、安心して相談及び証言ができるように求めることができる。また、手続きにかかわるすべての機関及び委員は、相談や訴え出たこと及び証言したことで不利益が生じないように対応しなければならない。万一、手続きにかかわって不利益を受けた場合は、ハラスメントと同一の手続きで申立てを行うことができる。
また被害者及び証言者が虚偽の報告をした場合は処分の対象となる。

学校法人 目白学園
以上