耳より小話【その3】
知っていますか?『集音器』と『補聴器』、その違い
『補聴器』ということばは聞いたことがあるが『集音器』ということばを聞いたことはないという方が多いと思います。実は通信販売などで売っている「よく聴こえるようにする機械」には、『補聴器』だけでなく『集音器』という全く別物の機械も多く含まれています。
『補聴器』と『集音器』の違いを一言でいうと、
- 補聴器 = 医療機器 :
聴こえにくい音のみを大きくします。 - 集音器 = 電化製品 :
すべての音(不要な音も含む)を大きくします。
詳しく言うと、
『補聴器』
薬機法(正式名称:「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」)に従い厚生労働省の認定を受けた「管理医療機器」で、効果や安全性について一定の基準を必ず満たして販売されています。
「聴こえが悪い」と言っても、その聴こえ方には個人差があります。『補聴器』はマイクで拾った音を分析し、使用する方の聞こえにくい音に合わせて、大きくする音と大きくしない音を分けます。そして、必要な音だけを適切な大きさにしてスピーカーから出します。また、耳を傷めないように一定以上大きな音は出さないように調整します。
したがって使用する人の聴こえ方に合わせて調整し販売する必要があるため、通信販売では必要な調整をすることができず、本来の効果が得られないだけでなく安全性の確保ができません。
『集音器』
製造・販売に認可は不要であり、一般の電気店や通信販売での販売が可能です。
効果や安全性についての基準がないため、機械によっては大きな音が出過ぎてしまい耳を傷つける危険があるものもあります。
基本的には全ての音を一律に大きくするため、不要な音まで大きくなり、うるさくて不快な音になりやすいです。一部「環境に合わせて音を調節する」と謳っている機械もありますが、あくまで「環境音に応じて音が大小変化する」のであり、「使用者の耳に合わせる」ことはできません。
補聴器を検討されている場合は、まずは『補聴器相談医』がいる耳鼻咽喉科にて補聴器の適応があるのかを判断してもらい、補聴器を調整するプロ(認定補聴器技能者)がいる『認定補聴器専門店』に相談してみましょう。
補聴器相談医は日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会のWebサイトで検索できます。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会Webサイト(補聴器相談医名簿)