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Department of Social Information 新宿キャンパス

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社会情報学科ファッションブランド戦略論 授業レポート 「ミキモトにおけるマーケティング」

ファッション企業の方を講師としてお招きし、ブランド戦略について講演していただく「現代の社会1(ファッションブランド戦略論)」。 6月14日(金)の講義では、株式会社ミキモト 人事部人材開発課 山路孝裕様にお越しいただき、「ミキモトにおけるマーケティング」をテーマにお話いただきました。

「ミキモトにおけるマーケティング」の授業レポート

株式会社ミキモトは、日本初のジュエリー専門店として1899年に創業し、120年の歴史を誇る、日本屈指のジュエリーブランドです。創業から120年間、銀座に本店を構えており、国内直営店が5店舗、委託店が65店舗、海外は10カ国38店舗と、アジア圏に多く進出しています。 同社は、ジュエリーブランドの中でも特に高価なジュエリーを取り扱うラグジュアリーブランド(高級ブランド)として事業展開をしています。そのため、富裕層以外のターゲットへのアプローチとして、顧客のジュエリーに対する憧れを強くする広告宣伝を行っています。また、世界で初めて真珠の養殖に成功し、ミキモトの養殖真珠は日本文化の象徴として、120年間の伝統とともに世界に認められています。これは、ミキモトのジュエリーが世界から多くの支持を得ている理由でもあります。今回のご講演では、同社のマーケティングについて、4Pの要素に基づきご説明いただきました。 また、同社は「あらゆる人々が美しいジュエリーに憧れ、楽しめる世界を作りたい」という企業理念のもと、売上や規模は重視せず、オリジナリティを追求したマーケティング戦略を行っています。

製品施策(Product):顧客によるマーケットの固定化を目指し、素材調達からこだわり、自社工場で最高品質のジュエリーを生み出しています。また、デザインについては国内・海外ともにコレクションシリーズとして多様に展開しています。
価格施策(Price):値引きやセールを行わず、適正価格へと設定することで、顧客との信頼を築いています。また、ジュエリーは生活必需品ではないため、販売時の優れた接客が求められます。ミキモトには接客マニュアルがなく、社員一人ひとりが自ら考え接客を行うことで、顧客の記憶に残る"オーダーメイドの接客"を行っています。また販売と並び大切にしているのがアフターサービス(カスタマーサービス)です。同社の商品が末永く使えるという安心感を提供することで、信頼関係を築いています。パールネックレスは何度でも無料で糸替えを行うといった、親から子へ、子から孫へ"受け継がれる"ジュエリーを目指しています。
流通施策(Place):海外の店舗立地は、その国や地域の一等地を吟味し、人々の憧れる場所にだけ出店しています。ラグジュアリーブランドの聖地であるパリをはじめ、ロンドン、ニューヨークなど、ブランドを発信するための広告の基地となっています。ミキモトの原点、象徴である三重県の伊勢志摩は、マスメディアを通してブランドの歴史や伝統を伝えています。
プロモーション施策(Promotion):商品ではなく、憧れを醸成する広告でハイジュエリーの訴求を図っています。さらに、広告を世界中で統一することで、海外の顧客に対してブランドを刷り込むことができます。歴史価値のあるジュエリーは、裏付けとなるエピソードを用いて発信します。さらに「ミキモト=真珠」というイメージを活用し、書籍やWEB、アンバサダーの起用といったプロモーションで、パールネックレスの新たな魅力を伝えています。
ご講演いただいた山路氏には受講生からの質問にも真摯にお答えいただき、終了後も個別の質問にお答えいただきました。普段、ジュエリーを購入する機会がほとんどない私たち学生にとって、ラグジュアリーブランドのマーケティングや、顧客へのアプローチの仕方など、すべてが新鮮で興味深い内容でした。
(社会情報学科3年 小林桃子)

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