耳より小話【その9】
前庭機能検査について
当クリニックではめまいやふらつきの原因を調べるために前庭機能検査を行っています。複数の検査方法が行われていますが、今回はvHIT検査とVEMP検査について紹介します。
前庭は耳の奥(内耳)にある平衡感覚のセンサーで、半規管(頭の回転を感知)と耳石器(頭の傾きや直線の動きを感知)で構成されています。
半規管の働きは ①vHIT検査、耳石器の働きは ②VEMP検査で評価します。
①vHIT検査
vHIT(ビデオヘッドインパルステスト)は半規管の働きを見る検査です

わたしたちの身体は半規管の働きによって頭を動かしても見ている物をブレずに見続けられるしくみがあります。しかし半規管に異常があると頭をすばやく動かしたときに視線のブレが生じます。半規管は左右にそれぞれ3つあり、この検査ではすべての半規管の働きを個別に評価することができます。患者様にカメラが搭載されたゴーグルをつけて、素早く頭を振ったときの目の動きを記録します。痛みはなく検査の時間は15分ほどです。
注意点:カラーコンタクトや濃いマスカラは記録の妨げになりますのでご遠慮ください。首を動かすと痛みのある方は事前にお申し出ください。
②VEMP(前庭誘発筋電位検査)
VEMP(前庭誘発筋電位検査)は耳石器の働きをみる検査です
わたしたちの身体は耳石器の働きによって頭の傾きや上下の動き(重力)を感じる仕組みになっています。また目を閉じていても電車が動き出したり、止まったことを感じるのも耳石器の働きです。耳石器に異常があると身体の不安定感や浮動感を感じる方がいらっしゃいます。耳石器には球形嚢と卵形嚢の2種類あり、この検査ではどちらの働きも評価することができます(電極を貼る場所が異なります)。患者様の首や顔に電極を貼り、ヘッドホンからの大きな音に反応した筋肉の反応を記録します。ヘッドホンから大きい音を出しますが痛みはなく検査時間は40分ほどです。

注意点:電極を貼付する場所のお化粧を落とします。大きな音を聞くとめまいがする人は事前にお申し出ください。

