アリスとハイジ~原書とその時代~
昨年に引き続き、目白大学新宿図書館の貴重本を公開展示し、関連講演を実施します。 今年の展示は誰もが知っている名作、ルイス・キャロル著『ふしぎの国のアリス』・『鏡の国のアリス』とヨハンナ・シュピリ著『ハイジ』です。ハイジは初版本、アリスは初版ではないものの、ごく初期に出版された原書を展示します。
会場では原書が書かれた時代背景がわかる関連本や、2つの作品をデジタル化したものもご用意いたしますので、ジョン・テニエルによるアリスの挿絵やハイジの飾り文字を自由に見ていただくことが出来ます。また、原書が書かれた時代背景にふれることにより、いっそう作品を楽しんでいただければと思います。展示には本学地域社会学科の堀内直哉先生にご協力いただき、関連講演および展示解説は、本学子ども学科の久米依子先生がご担当されます。
この機会に、図書館に足を運び貴重な原書をお楽しみください。
【第5回 目白大学新宿図書館所蔵稀覯本ミニ展示会】
アリスとハイジ~原書とその時代~
開催期間: 平成27年6月29日(月)~7月25日(土) (7/13に展示替えをします)
公開時間: 9:00~21:00 (土曜日は17:00まで、日曜休館)
場 所: 目白大学新宿図書館
<入場無料>
【第6回 関連講演】
講師: 久米 依子 (本学 人間学部子ども学科教授)
日時: 平成27年7月10日(金)18:00~
場所: 目白大学新宿図書館 2階閲覧室
<申込方法>
・申込書
PDFの参加申込書を印刷し、記入して図書館カウンターまでお持ちください。
図書館にも申込書が置いてあります。
→参加申込書ダウンロード
・電話
下記の電話番号にお電話いただき、「講演会参加申込」の旨お伝えください。
お名前と連絡先をお伺いいたします。
・メール
題名を「講演会参加申込」にしていただき、お名前・学内者(or学外者)・連絡先(メールアドレスか電話番号)を明記して下記のアドレスまで送信してください。
※連絡先は日時や会場に変更があった場合にのみ使用します。
<申込・問い合わせ先>
目白大学新宿図書館
〒161-8539 東京都新宿区中落合4-31-1
TEL: 03-5996-3140
E-mail: coltosyo@mejiro.ac.jp
【レポート】 第6回目白大学図書館関連講演(平成27年7月10日実施)
アリスとハイジ~原書とその時代~
7月10日(金)18時00分、「第5回目白大学図書館講演会」が開催されました。
テーマは「アリスとハイジ~原書とその時代」、講師は本学人間学部子ども学科久米依子先生にお願いいたしました。
本図書館所蔵の貴重書である、『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』の初版ではないもののその翌年版(1866,1872)、および『アルプスの少女ハイジ、正続編』は初版(1880,1881)を、第4回目白大学新宿図書館蔵稀覯本ミニ展示会として公開するにあたり、児童文学研究者として広く知られている久米先生から、興味深い、示唆に富んだお話を伺うことができました。
書名や作者名のルイス・キャロルあるいはヨハンナ・シュピリはだれでも知っています。しかし、さて、何歳ごろに読んだものか、絵本を見たのか、児童向けのダイジェスト版で「全部読んだつもり」になっているのか、はたまたアニメで知ったのか・・・ひとりずつ受容事情が異なっているようです。どのようなお話かと期待はふくらむばかりでした。
会場は図書館2階閲覧室、聴衆は30余名、この貴重書の購入と保管に貢献してくださった旧職員の方々も含め、学内外からお集まりくださいました。
初めに、基本的な事項のご説明があったのち、ご専門の立場から、これらの作品の時代背景や日本における受容の歴史まで、広くて深い内容を次々とお話しくださいました。ひとつひとつが、印象に残る、心動かされる90分でした。
「アリス」は、まだ大人の秩序に縛られない自由な生き方を反映し、ヴィクトリア朝時代からの逸脱を夢想する一面がある、また物語の女王様には「ヴィクトリア女王への風刺」が垣間見えるなど、サブタイトル~原書とその時代~に合致した内容に、ただただ教えられるばかりでした。
今回の講演では、本講演会5回目にして、初めてのオーディオ機器の登場となりました。スクリーンの画像と同時に音声が流れ、懐かしい思いで見入っている方々が何人もいらっしゃいました。「ハイジ」については、1974年の日本製アニメーション『アルプスの少女ハイジ』が世界的に影響を及ぼし、原作とはいささか異なった内容になっていることを知りました。ことに、原作には登場しないセントバーナード犬が、現在は、世界的に「不可欠な存在」となりきっていてだれも疑わないという事実に、聴衆一同、納得させられました。
「アリス」は1899年に、「ハイジ」は1920年に、日本では翻訳が紹介され、受容されていることを知りました。
また1945年の第二次世界大戦以後の「ハイジ人気」は敗戦国の日本人が抱く永世中立国スイスへあこがれと、日本人がもつ山岳信仰・・・山はすべての苦を癒してくれる聖なる場・・・の結晶ではないかとのご提言や、日本のアニメーションの品質の高さが、原作を損なうのではなく優れた新しい作品を生み出す契機になるとのご指摘に、教えられることの多い、きわめて有益かつ楽しいご講演でした。
年度内に展示概要なども合わせて冊子を刊行いたします。準備ができ次第ご案内します。
どうぞ、お手にとって、ご覧ください。
第5回 図書館ミニ展示
アリスとハイジ~原書とその時代~」が無事終了いたしました
展示会・関連講演ともに、本学学生や教職員はもちろん、学外からも多くの方々に足を運んでいただきました。お子さんを連れていらした方もいて、多様な年齢、立場の方々に見ていただけたことを嬉しく思います。
原書だけでなく、それぞれの作品のデジタル化資料や、作品・時代背景についての関連本も皆さん熱心にご覧になっていました。
展示期間中、「来年度の展示和洋対決!」というタイトルで、来年度の展示物は和書がいいか、洋書がいいか、というアンケートを実施し、合計199名の方々にご協力いただきました。ありがとうございました!
来年度の展示物は決定次第発表いたします。これから準備を着々と進めて参りますので、ぜひ来年度の展示会にもご期待下さい!