メディア2026.1.6

人に届く仕組みを考えるデザイン思考

#デザイン思考 #共感 #問題提起 #潜在ニーズ

「並びたくない」の正体は何だろう

 ある学生が「学食がいつも混んでいる」という課題に対し、並ばずに注文できるモバイルオーダーの導入を提案しました。合理的で間違ってはいない解決策です。そこで私は「なぜ並びたくないのか?」と質問しました。一度考え込んだ後、その学生は「並ぶ時間が無駄だから」と答えました。

 実際、原宿の人気スイーツ店には、並ぶと分かっていても人が集まります。そこには"待つ時間も含めて楽しめる体験"があるからです。問題は「並ぶこと」そのものではなく、「その時間に価値を感じられないこと」なのかもしれません。

 人々が本当に求めている理由を深く知るには、観察だけでなく、感情に寄り添う共感が欠かせません。デザイン思考は、こうした潜在的なニーズを探ることから始まります。

デザイン思考でメディアのあり方を考える

 メディアにおいて「デザイン」と聞くと、映像やグラフィックなど"表現の技術"を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、デザインが扱うのはそれだけではありません。形のある表現に加えて、人々の体験や気持ち、使う過程といった形のないものも、デザインの大切な対象です。

 つまり、デザインとは「見た目をつくること」にとどまらず、「人々が本当に求めていることを見つけ出すこと」も含まれます。メディアも同じです。作品や情報を通じて"誰に、どう届くか"を考えることが重要です。

 観察と共感から出発し、人々の心に届く仕組みをつくる。こうしたデザインの背景にある考え方やプロセスを、デザイン思考と呼びます。

おススメの学問

宮崎 愛弓
助教

メディア学部 メディア学科

学生時代にデザインを学び、「デザインは見た目を整えることではなく、人の行動や気持ちを考えること」だという視点に出会いました。現在は、情報をどう伝えれば人に伝わるのか、また人はどのように学び理解していくのかという問いを軸に、情報デザインと教えと学びのデザインの視点から研究しています。
授業やゼミでは、ポスターやチラシなどのグラフィックデザインの指導を行うほか、インターンシップ担当として、大学で学んだことを実際の仕事や社会の現場につなげる機会づくりに力を入れています。

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