ビジネス社会学科の藤波大三郎教授が、11月13日(土)、オンライン方式による目白大学短期大学部公開講座において、「シニアのための堅実な資産運用」との題で高齢者の貧困化へ対策としての株式投資を含む資産運用と、SDGsを資産運用で応援するESG投資を解説しました。
藤波教授は投資教育に関心があり、投資教育図書の『投資初心者のための資産運用[改訂版]』(創成社、2020年)を執筆して1年生科目の「ファイナンス基礎」のテキストとして使用し、日本消費者教育学会にも加入しています。
日本の高齢者の貧困の状況は、経済協力開発機構(OECD)諸国では韓国、オーストラリア、米国に続きワースト4位です(2015年)。高齢者が保有する金融資産は過去20年間横ばいであり、高齢者の貧困化への対応の1つは資産運用で老後資金を増やすことです。
そうした資産運用には株式投資を含んだ運用が必要ですが、日本人は株式投資を危ないものものとして、敬遠しがちです。政府は「貯蓄から資産形成へ」という標語を掲げており、資産運用の知識が広く普及することが求められています。
また、ESGとは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の頭文字を取った言葉です。ESG投資とは、企業の長期的な成長のためには、これらの点を大切にして企業経営を行う必要があるという考え方で、SDGsを企業活動から支える投資のことです。
SDGsの達成のためには、ESGによる株式投資の活用が求められています。また、2022年度から高校で金融教育が始まります。ビジネス社会学科では、今後も「ファイナンス基礎」の授業を通して、株式投資への理解を高め、SDGsを支える資産運用への理解を広げていきます。
資料:岡田克彦(2021)「なぜ日本人は株式資産を持たないのか?」
注)リターン:国債の利回りに対する超過収益率、リスク:標準偏差、データの期間:1983年1月~2021年6月、日本株:TOPIX、米国株:SP500
解説:人々は心理的なバイアス(錯覚)により株式投資を現実より収益は小さく、リスクは大きくみており、このために株式投資を避けていると思われます。心理的バイアスにとらわれず、株式投資を理解することが必要でしょう。