心理学研究科 現代心理学専攻

2012年度修了(製薬会社勤務)

西谷 晴信 さん

学会参加 研究・実践 社会人
研修プログラムを心理学的に検証したい

製薬会社で医薬情報担当者(MR)や営業マネジャーなどに向けた社内研修プログラムの開発および実施に携わってきました。組織の力を高めるためには、まず個人の力を最大限に引き出すことが不可欠です。組織の中で管理職は個人とどう関わっていくべきなのか、理解を深めたいとの思いから、コーチングなどの理論を学びました。長年の経験からこれまでに取り組んできた研修プログラムの効果を実感していましたが、コーチングがどのように個人の自尊心の維持・向上に結びつくのか、その過程や理論を心理学的見地から考察したいと考えて大学院へ進学。目白大学大学院に進学したのは、社会人に広く門戸を開いていることや、著名な先生方を擁している点に魅力を感じたためです。

実践に直結した研究で仕事での自信に

大学院では「新卒参入者のキャリア初期におけるコーチング効果に関する実証的研究」をテーマに研究を行いました。新卒者を対象としたのは、環境に適応しながら成長することで早期離職を防ぐだけでなく、キャリア形成に繫がる手立てを探りたいと考えたこと、また取引先との接触など外的な要因が少なく、研修の効果がより純粋に測定できると推定したからです。尺度の検討や統計解析ソフトの取り扱いなど、試行錯誤の連続でしたが、先生方の指導を受けながら論文執筆を進め、新卒者に適切なコーチング介入をすることで仕事における試練を成長の機会と捉えられ、キャリア開発にも役立てられるということを実証し、研究をまとめることができました。

人材育成を通して研究者の責務を果たす

現在は新卒者のコーチング、営業担当者向けキャリアデザインのワークショップなどを行っています。大学院で心理学の各理論を身につけ、実務に直結するテーマを研究し、成果を得られたことで、強い自信と根拠を持って仕事に取り組めています。現代心理学専攻の先生のご紹介を受けて入会した人材育成学会では、人材戦略や人材開発などの最新の研究にふれられますし、学術分野との繫がりが生まれたことは自分自身のキャリアにおいて重要な財産です。また、論文指導教授からいただいた「研究の入口に立つ者としての覚悟を持ちなさい」という言葉は心に深く刻まれています。研究に従事することは、プロセスも含めた成果を広く社会に発信していく立場にあると改めて気づかされました。大学院で得た多くの知見に加え、新たにキャリアコンサルティング技能士の資格を得て、さらに専門性を磨くなど、これからも幅広い人材システムづくりに関わり、人材育成の仕事を通して社会に貢献したいと考えています。