ビジネス社会学科・藤波大三郎教授の論文を基にした連載「高齢期における貧困化への対処策」が、幻冬舎の総合情報Webサイト「幻冬舎ゴールドオンライン」で始まりました。
「幻冬舎ゴールドオンライン」では、さまざま特集を掲載しており、日本FP学会の会員でもある藤波教授の論文「高齢期における貧困化への対処策」を一般向けにリライトした記事が、7月25日(月)より5回にわたって掲載されます。
連載第1回のテーマは『「高齢世帯の貧困」ますます深刻化...公的年金削減&伸び続ける寿命、政府の対応策は?』です。藤波教授は昨年10月、本学の公開講座で「シニアのための堅実な資産運用」の講演を行い、人生100年時代には、資産運用だけでなく、幅広い金融経済とファイナンシャルプランニングの知識が必要なことを述べています。
たとえば下図のように、約3,000名の高齢者へのアンケートの結果では、金融経済の知識の少ない人は、保有している金融資産の大小にかかわらず、高齢期の生計見通しの立たない人の割合が多くなっていることがわかります。何もしなければ財産は減り続ける時代に、藤波教授は警鐘を鳴らします。
2022年4月から、高校の家庭科で金融教育が始まりましたが、こうした教育が行われることとなった背景もわかる内容です。
知識量と高齢期の生計の見通し(貯蓄額別)
作成:藤波教授
参考資料:古賀祥子「知識が鍵を握る高齢期の生活設計」(三菱UFJリサーチ&コンサルティングWebサイト)
論文「高齢期における貧困化への対処策」の要旨:
少子高齢化による公的年金の給付削減、経済のグローバル化で企業の投資が海外直接投資に向けられたことによる国内の賃金の抑制、また、製造業における低スキルの人々の失業、非正規雇用の増大、デジタル化による様々な産業での雇用の縮小傾向。これらが要因となって高齢期に貧困化する人々が増える傾向があることから、長寿化で高齢期が長期化する現在、高齢者の貧困化への対処策として、事前のファイナンシャルプランニング(生活設計)が重要である。
(日本産業経済学会の学会誌への投稿論文 / 2022年5月2日受理)