
教員・先輩の声
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専門の領域について
私の専門は「社会哲学」と「社会デザイン」です。社会哲学とは、環境問題や人間関係の希薄化といった社会問題を近代化との関係から把握し、その課題解決のために、市場や行政だけに依存しない市民社会のあり方やその意味を考察することです。また、その理論的哲学的な考察に基づいて、具体的な地域や現場に即した解決案を考え、そのメンバーの一員として実践してゆくことを、私は「社会デザイン」だと考えています。
現在取り組んでいる研究とその概要
社会デザインの活動では、2011年の東日本大震災後から、宮城県気仙沼市本吉町前浜地区において、住民の方々や学生ボランティアと一緒に「椿の森づくり」に取り組んでいます。この活動は、地域の自然再生であると同時に、コミュニティ再生のプロジェクトとしても位置付けています。その他にもここ数年は、私が住んでいる地域のコミュニティ再生にもPTA改革などを通じて取り組んでいます。また、そうした実践活動を基礎づけるため、理論的な面では現在、コミュニティに関する社会理論や哲学、コミュニティと市場や行政との関係について研究しています。
学生への期待
二年間という限られた時間のなかで、実践においても理論においても、自分自身が満足できるような成果を得るためには相当の努力が求められます。しかしながら、現実の社会生活から一歩身を引いて、さまざまな視点から社会を眺め、人や社会の可能性に思いをめぐらせることは、この期間でしかできないことだと思います。その経験が、今後の自分の人生を豊かにすると思いますので、研究に費やす時間をできるかぎり確保して、全力で楽しんでください。
研究指導について
大学院生は学びたいテーマがあって大学院に来ているので、まずは本人のテーマ設定をどのように具体化するかを一緒に話し合います。そのなかで、学生本人のこだわりや本音のようなものを聞き出し、テーマ設定を見直していきます。その後は、取り組みたい調査やテーマなどが複数あったとしても、期間内に修了するためには思い切って内容の一部を捨てる必要があります。そのため、熱意のある学生ほど欲張りになってしまう傾向があるので、その「見切り」を手伝うように指導をしています。
受験生へのメッセージ
国際交流研究科は修士課程のみですので、上述したように、自分の掲げた研究テーマがそこで完結するということはほとんど考えられません。しかしながら、その期間にどれだけ本気で研究に取り組んだかが、その後の自分の人生=世界を大きく変えると思います。小手先のテクニックではなく、愚直な精神をもって自分の研究テーマと向き合ってください。