心理学研究科 臨床心理学専攻

2009年度修了(臨床心理士・大学助教)

青柳 宏亮 さん

研究・実践 臨床心理士
実践力を身につけた臨床心理士を目指して

大学で心理学を学ぶうち、臨床心理士として対人援助に携わりたいと考えるようになり、大学院に進学。心理学の実践家を目指すのだから、実践を積むことが第一と考えていたことから、実習が充実している目白大学大学院を進学先に決めました。
学内にある心理カウンセリングセンターでの実習以外に、短期実習では福祉事務所でさまざまな年齢層の障害者への支援に関わるほか、長期実習として1年間、小学校で生徒に対してカウンセリングを行う「心の教育相談員」を務めました。こうした経験から修得したのは、実践に基づく理論や知識です。大学院修了後に就いた教育相談員の業務にも繋がる実り多きものでした。

心理職として寄り添い続ける姿勢を学ぶ

臨床心理学専攻の先生方は多様なフィールドで実践家として活躍されているため、どの授業も刺激的でした。中でも印象深いのは、臨床心理学専攻の学生全員で行うカンファレンスです。1年次はインテーク面接の記録などを読んでディスカッションし、2年次は各学生の担当ケースについて発表するケースカンファレンスを実施。多様なケースを間接的に体験できるので、自分と異なるアプローチにふれる機会となり、視野が拡がりました。入学当初は「困っている人を助けること」、「悩みをすぐに解消すること」がカウンセリングの意義であると考えていました。しかし、ディスカッションでの先生方の助言により、クライエントと向き合い続けることの重要性に気づいたのです。そして、それがいかに難しいか、経験を積んだ今はよく理解できます。大学院での2年間で、臨床心理士として最も大切な姿勢を身につけられたと思っています。

研究と臨床を切り離さず追究していきたい

修士論文では、心理療法の技法の一つである「ミラーリング」の効果を検討しました。臨床でよく用いられる技法ですが、その効果を実証するため、模擬カウンセリングを用いて実験的に測定。得られた知見を活用し、受け持っている大学での講義で学生に伝えています。
臨床で行き詰まったとき、論文を読んで新たな理論と出会い、解決策を見出すことがありますが、このように理論的な裏付けを行いながら進めていく臨床が現在の理想です。実践第一と考えていた自分にとって、理論と実践は切り離せないものだと思い至ったのは、経験豊富な先生方の指導のおかげです。今後はカウンセラーとして実践を重ね、その裏付けとなる心理療法の研究を続けていきます。また、教員として次世代の実践家を育てる中で自分自身も刺激を受け、成長していきたいです。