心理学研究科臨床心理学専攻

2022年3月修了(公認心理師・臨床心理士/国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 国府台病院 児童精神科勤務)

市川 万由奈 さん

公認心理師 研究・実践 臨床心理士 資格取得
仲間との支え合いから得られた心理職としての基盤

心理学を学んでいた大学時代、卒業を前に自分自身の将来について考えたとき、苦悩を抱える人が少しでも楽になれるようにお手伝いをしたいとの思いが募り、大学院進学を決心しました。目白大学大学院で学ぶ大学の先輩からお話を聞き、幅広い専門分野の先生方の存在や先生方の温かいサポート、風通しの良い校風に魅力を感じて目白大学大学院を志望しました。大学院で学ぶ中で、学内・学外での実習や修士論文の執筆など、思うようにはかどらずに行き詰まった私を支えてくれたのは、共に学ぶ同期の仲間たちです。「1人ではない」と感じさせてくれる仲間との出会いは、大学院で得た財産の1つ。物事を1人で成し遂げることも重要な一方で、困ったときには誰かに助けを求め、お互いに助け合って歩むことの大切さを学びました。この経験はチーム医療やチーム学校など協働が求められる現代の心理臨床において、活動の基盤となるものだと感じています。また、公認心理師・臨床心理士の試験対策には、授業の中で問題解説や出題を想定した知識、それらの知識の定着に向けた学習方法などを先生方にご指導いただき、さらに仲間とも支え合いながらモチベーションを継続させて試験対策に取り組めています。

若年層への心理支援を目指して研究を進める

修士論文では「認知的感情制御」について研究し、論文へとまとめました。人の考え方や感情の変化に関心を持っていたので、起こっている状況や出来事への理解を認知的に変化させて感情の強さや種類を変える「認知的感情制御」というテーマにたどり着きました。場面の違いによりどのような認知的感情制御方略が使用されるのか、抑うつとの関連はあるのか、検討を重ねました。調査・研究の結果から、場面ごとに適した方略を取ることや環境調整を行うことにより精神的健康の向上に有効となり、抑うつ低減への効果が示唆されました。修了後の進路として若年層への心理支援を希望していたので、若年層の抑うつに対して「認知的感情制御」を分かりやすく整理するまでを視野に研究を進めました。今後、この研究を心理教育に生かし、子どもたちが問題を自分自身で乗り越える力を養い、抑うつ低減へと貢献できればと考えています。

幅広い領域での経験を糧に心理臨床に貢献したい

学内・学外での実習における多くの領域での経験は、心理臨床に生きる深い知識に繋がっています。特に埼玉医科大学の実習では「医学的視点に基づく見立て」が求められ、臨床家として役立つ貴重な視点に気づけました。それまで心理的な部分にばかり着目していましたが、精神症状をきたす可能性のある身体的問題の理解によって、患者さんに適した治療に寄与できることを学びました。医学的視点に基づく見立ては、修了後に従事している病院の児童精神科においてだけでなく、幅広い領域で重要となります。現在、心理検査の実施や所見の作成、集団活動療法での児童のサポート、アセスメントを主に担当しています。大学院での心理検査に関する授業や学内施設の実習を通して先生方からご指導いただいたのは、数値だけを見るのではなく、当事者の方の雰囲気や様子も捉えてクライエントの臨床像と困り事がはっきり想像できるようなアセスメントを行うこと。さまざまな心理検査を行う中で、患者さんに寄り添った所見作成やアセスメントの基礎となる学びです。臨床心理学専攻で多くの領域での実習を経験できたからこそ、得られた知見だと実感しています。