「子ども中心の関わり」の普及

心理カウンセリング学科阪無ゼミ

逆境を生き抜く子どもたち、トラウマをも癒す支援のかたち

虐待やネグレクト、家庭内での言い争いなど、子どもが安心して過ごせない体験は小児逆境体験と呼ばれ、人生に悪影響を及ぼすことが知られています。私は、そうした経験のある子どもの心のケアと、その家族や支援者への支援を専門としています。また、国内でも数少ない児童相談所一時保護所の研究者・実務家でもあります。日々の実践から明らかになったのは、子どもが持つ7つの支援欲求を満たすような大人の関わりが、子どものトラウマを癒し、人生を幸福に生きる力となることです。このような関わり方は「子ども中心の関わり」と呼ばれており、子どもと関わる多くの大人に広まるように活動しています。

子どもの声に耳を傾け、心に響くような支援のあり方を問い続ける

人見知りの強かった私は、「より良い自分を目指したい」という思いと心理学への興味から心理学部へ進学しました。在学中は福祉学科を副専攻し、多くの福祉科目を履修するとともに、尊敬できる大学教授に師事し、さまざまなボランティア活動に参加しました。 今振り返ると、「これまでの人生で不足したものを取り戻したい」「お世話になった方々に恩を返したい」という思いが根底にあったように思います。そんな中、児童相談所とつながりのある教授から、一時保護所でのアルバイトを紹介され、大学2年生から児童虐待に関わる実践の現場に飛び込むことになりました。この経験は、私の人生を大きく変えた転機となりました。子どもたちが抱える「大切にされたい」という切実な思いと、大人たちの「大切にしたい」という願いが、なぜかすれ違ってしまう現実に直面する中で、私は子どもの声に耳を傾け、その声に応える関わりの重要性を痛感しました。 「一時的な出会いであっても、心に響く支援ができると信じたい。でも、どうやって?」この問いに向き合い続けることこそ、私の役割だと感じた瞬間でもありました。

ゼミのことをもっと知ろう!

子ども虐待を専門とする実務家教員から、子ども虐待の現状と課題を多様な心理学の理論を絡めながら統合的に学ぶことができます。そして、「子ども中心」とは何であるのかを、実践とともに深めていきます。3年次には学生が中心となって、「オレンジリボン運動(子ども虐待防止の啓発活動)」を実施していくプロジェクトチームを立ち上げ、子ども支援に関する理論と実践をつなぐ多彩な活動に取り組みます。心理学の知識を「伝える力」へと変えていく経験ができます。また、活動を通して、虐待を受けた当事者、当事者支援の活動家、子育て家庭を支える専門職との関わりを持つことができます。学生にとっては、その後の進路選択を考える上でも役に立っているようです。実際に、大学院進学、公務員の心理職、児童養護施設職員などを目指している学生も少なくありません。

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実践力と社会性、そして理論的な視点をバランスよく育てるゼミです。オレンジリボン運動では、子どもの心のケアと成長に役立つ支援とは何かを、学生自身が問い、考え、形にしていきます。直近のオレンジリボン運動では、「子ども中心の関わり」をキャラクター化し、絵本、人形劇、LINEスタンプ、アニメーション制作、SNS発信など、子どもや大人に向けた表現活動を展開しました。一見「心理学」とは思えないような創作活動も、すべて「心を支える」ことに根ざしています。学術と創造性のバランスを大切にしており、絵本作家・映像作家の方にもお力添えをいただきます。

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阪無ゼミでは、プロジェクトを通して「伝える力」、「社会とつながる力」を育みます。特別なスキルは必要ありませんが、「誰かを支えたい」という思いを持ち、自分ごととして子どもと家族の問題を捉え、仲間と協力しながら学び、動いていける人を応援します。例えば、「心理学の知識を生かした活動に興味がある人」、「将来は子どもに関わる仕事を志す人」、「社会課題に関心がある人」、「自分のアイデアを社会に発信してみたい人」、「チームで協働しながら活動したい人」、そんな方を歓迎しています。

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家族を取り巻く問題を調べると、心のケアが必要な子どもが数多くいることに気づきます。一方で、子どもを上手に愛してあげられず、自分を責める大人も少なくありません。愛情の連鎖が続くためにはどうしたら良いのでしょうか?こうした問題の背景には、心理学的な理解や視点が一般の子育て世帯に広く浸透していない現状もあります。私たちと一緒に、心理学の知識とまなざしを社会に届けてみませんか?人のため、社会のため、そして、私たちの次の世代のためにも、「誰かを大切に思う気持ち」を形にできる、そんな未来を目指していきましょう。

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学生時代はストリートダンス(ヒップホップ、ブレイクダンス)をしていました!
阪無 勇士専任講師

小学生から高校生まで柔道をしていました。高校生から大学院生まではストリートダンス。現在はボイストレーニングにハマっていて、Mrs. GREEN APPLEで高得点を出せることを目指しています。

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