1月7日(水)、外国語学部中国語学科では、2025年度「中国語キャリア チャレンジ支援」特別企画の一環として、中国語翻訳者として通訳・翻訳の現場で活躍してきた本多由季氏を講師に迎え、「中国語を仕事にする」をテーマとした特別講義を実施しました。本講義では、本多氏自身の経験を基に、中国語との出会いから留学、資格取得、そして仕事につながるまでの道のりが、率直な語り口で紹介されました。
講義は、本多氏が「自分は決して語学が得意なタイプではなかった」と振り返るところから始まりました。出版社勤務時代に偶然目にした「漢字に未来はあるか」というシンポジウム記事を通じて、漢字が持つ表意文字としての情報量や想像力を呼び起こす力に強い衝撃を受けたことが、中国への関心の原点だったといいます。1つの漢字の中に意味が凝縮されているという特性に魅了され、「漢字はすごい」という純粋な驚きが、中国への旅行、さらには中国語学習へとつながっていきました。
実際に中国を訪れた際、日本から地理的には近いにもかかわらず、社会や文化のあり方が大きく異なることに強い印象を受け、中国という国そのものへの関心が一気に高まったと本多氏は語ります。その後、会社勤めを続けながら夜間の語学学校に通い、中国語学習を本格的に開始しましたが、数年勉強しても思うように話せるようにならず、30代半ばで北京留学を決断しました。
留学を通して中国語力は大きく向上し、当時のHSK8級に到達したものの、帰国後の転職活動では「資格と実務は別」という現実に直面します。HSKの認知度が低かった時代背景もあり、中国語力そのものがすぐに仕事に結びつくわけではなかった経験が紹介されました。
そうした中で、本多氏が1つの転機として挙げたのが、通訳案内士(通訳ガイド)資格の取得です。観光分野に特化した資格ではあるものの、「中国語ができることを社会に分かりやすく示す指標」として、仕事の入り口を広げる役割を果たしたといいます。ただし、資格を取っただけでは現場で通用しないことも強く実感し、その後は通訳・翻訳者養成学校に通い、実務を想定した訓練を重ねていきました。
講義の中で繰り返し強調されたのは、「仕事のきっかけは人とのつながりから生まれる」という点です。語学学校時代の学友、同業者、恩師といった周囲の人々からの情報や紹介が、最初の仕事につながり、その後のキャリアを支えてきたと本多氏は語りました。環境に身を置き、人との関係を大切にすることの重要性は、語学を仕事にしたい学生にとって大きなヒントとなりました。
最後に本多氏は、通訳・翻訳の仕事は失敗を重ねながら経験を積み上げていく世界であり、「続けた人がプロになる」と学生に向けて語りかけました。語学力だけでなく、想像力や粘り強さ、日本語力を磨き続ける姿勢こそが重要であり、中国語は時間をかけて育てることで、一生の武器になり得るというメッセージで講義は締めくくられました。
※本講演は、「中国語キャリア チャレンジ支援特別企画」(2025年度目白大学特定学修支援団体チャレンジ企画)の一環として実施されました。
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