社会学部

地域社会学科

Department of Community Studies 新宿キャンパス

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地域社会学科<地域・ひとづくりコース>の山口晋准教授が大阪臨地研修を実施しました

社会学部地域社会学科<地域ひとづくりコース>の「臨地研修」では、多くのユニークなプログラムが動き出し、学生も積極的にそれに参加しています。
山口晋准教授は12月17日(土)~18日(日)の2日間で大阪臨地研修を実施しました。この臨地研修では大阪市のウォーターフロントにおける再開発と2025年に開催が予定されている大阪万博の会場予定地についてフィールドワークをしました。

10月に実施された帯広臨地研修に引き続き、大阪臨地研修にも参加してくれた2年生の武宮優太くんが以下のようなショート・レポートを提出してくれましたが、さまざまな課題が浮き彫りになったようです。

ショート・レポート(2年 武宮優太くん)

  • ごみ処理施設
    オーストリアの建築家によるデザインのごみ処理施設
  • 夢洲
    大阪万博が開催予定の夢洲

今回の大阪臨地研修では舞洲地区と咲洲地区、夢洲地区の3カ所をめぐった。
舞洲地区にはいくつかのスポーツ施設がみられ、特に活気があったのは「大阪市舞洲障がい者スポーツセンター」である。

ここではボッチャの大会が開催されており、パラリンピックで活躍した選手が全国から集まり、出場しているということを教えていただいた。また一般利用者にも開放されていて、スポーツを楽しむ子どもたちもみられた。

一方、「奇抜な」外観のごみ処理施設が隣接してあり、スポーツセンターもその熱エネルギーを利用している。周囲には物流倉庫が立地しているが、空地も多くみられる。

舞洲地区全体としては人が少なく、開業していないスポーツ施設もみられた。地区北側の遊歩道を歩いてみたのだが、休憩所やトイレは閉鎖されていた。

人がいないのである。大阪万博が開催予定の夢洲地区はコスモスクエアのある咲洲地区からトンネルをくぐってアクセスしてみたが、1軒のコンビニエンスストアがあるぐらいで、巨大なコンテナバースと広大な開発途上の空地が広がっていた。ここで2025年に大阪万博が開催されるイメージは全くつかない。
コスモスクエアに戻ると大阪府咲洲庁舎が入る超高層ビル、アジア太平洋トレードセンターを歩く。全体としては人が少なく空虚さが際立っていた。

大阪市舞洲障がい者スポーツセンターの入り口には、台座に「希望」と刻印された車いすバスケットの石像があった。
たしかにこの施設は障がい者スポーツの希望であるように思う。しかし、舞洲、咲洲、夢洲の各地区の全体が私たちの希望に満ちた場所になるかどうかは分からない。

スポーツ施設、物流倉庫、ゴミ処理場、大型トラックが行きかう道路、コンテナバース、空地...。E・レルフが自著『場所の現象学』で批判をした、系統性を欠く人為的構築物の混ぜ合わせそのものであり、全体的に人がみられない、のっぺりとした空虚な空間が広がっている。

大阪万博で希望にあふれる「いのち輝く未来社会のデザイン」を創造するということなのだろうか。

来年度も臨地研修でいくつかの都市や地域を歩き、フィールドワークをすすめていきます。このようなプログラムに積極的に参加する学生を求めたいと思います。