社会学部 地域社会学科<地域・ひとづくりコース>で実施している「臨地研修」は、今年度も20を超える多彩なプログラムが企画され、多くの学生が参加しています。
その中の1つ、「地方都市における地域文化資源の調査」は、フィールドワーク型の臨地研修であり、11月上旬の週末には山口晋教授の引率の下、学生10名が熊本県人吉市で現地調査を行いました。
人吉市は鹿児島県や宮崎県にも接する熊本県南部に位置し、日本三大急流の球磨川が流れ、城下町としても栄えた、歴史や文化が感じられる地域です。今回のフィールドワークの主なテーマは、発酵食品を中心とした食事文化と人吉城の遺構の調査で、その現場に関わる方にお話を伺いました。
まず、味噌や醤油を醸造する、「釜田醸造所のみそ・しょうゆ蔵」にお邪魔し、3代目社長の釜田顕氏に醤油と味噌の醸造工程についてお話を伺いました。さらには創業以来、球磨川の水と自家製の天然もろみで作る味噌・醤油づくりへのこだわりと、2020年7月の豪雨災害からの復興にかかるご苦労についても教えていただきました。

次に、球磨焼酎の蔵元である「寿福酒造場」を訪問し、仕込み前のご多忙な時期にもかかわらず、地元産の米や麦にこだわりや「丁寧に、よいもの手作りで」という焼酎づくりの哲学について、代表で四代目杜氏の吉松絹子氏と五代目杜氏の吉松良太氏からお話を伺いました。

最後に、人吉城を視察した後に、その敷地内にある「人吉歴史館」を訪問しました。この歴史館で最大の目玉でもある、地下室遺構を人吉市教育委員会文化課・係長の岸田裕一氏にご説明いただきました。この地下室は約400年前に作られたものであり、作られた目的や使われた用途が古文書などにいっさい記されていないため、多くの謎に包まれていることが説明されました。

学生たちはこれらの施設でお話を伺ったり、質問をさせていただいたりしました。また、アニメ「夏目友人帳」の舞台となった街並みや鉄道ミュージアムにみられる交通の要衝としての人吉市の現状も確認することができました。
このコースでは、臨地研修や1年次からのゼミでのフィールドワークや社会調査士資格に関わる野外調査実習を通して、実際の地域に足を運び、現場で課題を発見し、地域の人々に寄り添いながら解決策を探っていきます。

