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Department of Social Information 新宿キャンパス

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社会情報学科「ファッションブランド戦略論」授業レポート"Happy Life Solution Company" BEAMS(ビームス)の成長戦略"

アパレル業界で「ビームス​」という名前を知らない人は、おそらくいないのではないのでしょうか。しかし実際に同社がどのような歴史を経て現在に至るのか、その背景と最新の事業戦略を知らない人は多いと思います。5月28日(金)の講義では、BEAMS人事業務部の吉野亮氏にお越しいただき、同社の歴史と各種ブランド、さまざまな事業戦略について、ご講演いただきました。

「BEAMS」の授業レポート

BEAMSはアパレル事業からスタートしたわけではありません。段ボール会社を母体としてアメリカの生活雑貨の販売から事業を拡大し、現在は30ものブランドを擁する一大企業へと成長を遂げています。なぜこれほど成長を遂げることができたのでしょうか。それは同社の企業理念から見ることができます。「Happy Life Solution Company」というミッションのもと、顧客を喜ばせるだけでなく、従業員を含めたステークホルダー(BEAMSに関係するすべての人)が幸せになるような会社を目指しているからです。そのため従業員が新たな事業を始めることも珍しくありません。女性社員が「自分の子どもが着る子供服がほしい」という理由から「こどもビームス」が生まれました。自分が好きだからこそブランドを立ち上げたい、という社員の「夢中」さを大切にする企業でもあります。

BEAMSの成長戦略は、大きく分けて2つあります。
1つ目はBtoCを視野に入れた戦略です。これはスタッフが自らの個性を生かした接客を行い、ファンを獲得することです。同社の特徴としてリピーターが多いことが挙げられており、顧客に商品を売るだけではなく、自らの個性とストーリーを売ることを狙いとしています。また、EC戦略にも力を入れており、スタッフのコーディネートを参考にして商品を購入することで実店舗での購入と同様の体験をすることができる仕組みを構築しています。
2つ目はBtoBに狙いを定めた戦略です。5年前にオープンした新宿のBEAMS JAPANのように、日本をキーワードとして全国のさまざまな企業・自治体とコラボした商品を販売しています。ここでは自治体などのPRを担うことで、地域活性化へとつなげることも期待されています。

さらに同社は「売り上げよりも日々を豊かにするものを作りたい」とのコンセプトのもと、サスティナブルな社会に向けた活動を積極的に推進しています。アップサイクル商品やグアテマラ共和国の支援活動で知られるWakamiとのコラボ商品など、モノとしての社会貢献活動のみならず、2011年の東日本大震災で被災した工房の復興を支援するべく、全社的に「けん玉」が配布され、スタッフは本気になって「とめけん」の練習を行いました。遊びのように思えるイベントですが、その結果、見事にギネスブックに掲載されたそうです。スタッフが面白がって遊び心を持ちながら、常に本気で取り組む社風がBEAMSの強みでもあり、これらの社会貢献活動が全て同社のPR事業として各種メディアに掲載される契機となっています。ご講演の終盤にはチャールズ・A・オライリーの「両利きの経営」やデジタルマーケティングを駆使した「ファンマーケティング」、さらにはイノベーション研究の新潮流となる「オープンイノベーション」を踏まえて経営戦略の軸についてご説明いただくなど、まさに同社の「知の探索」と「知の深化」が垣間見えるお話でした。

ご講演は同社の戦略についてお聞きするだけではなく、Zoomの特性を生かして、受講生のグループワークの時間を設けてインタラクティブな形式にされるなど、最初から最後まで吉野氏のソフトな語り口とともに、BEAMSの「楽しむ」というコンセプトが存分に盛り込まれた内容となりました。

(社会情報学科3年 今村、長谷部、余川)