心理学部心理カウンセリング学科・財津亘准教授の「チャットGPTの文章判別」に関する研究成果が国際学術誌「PLOS ONE(プロスワン)」に掲載され、産経新聞の一面に掲載されました。
財津准教授(犯罪心理学)は、これまで文章の特徴を統計解析することで書き手を特定する「著者識別」に関する研究に従事し、脅迫や誹謗中傷、サイバー犯罪などの鑑定業務に従事してきました。
今回は、犯罪捜査でも活用されているその技術を「チャットGPTの文章と人間の文章の判別」に応用し、その研究成果を発表しました。
今回の研究では、文章内の品詞構造や助詞の使い方、読点の打ち方といった文体に着目して統計解析したところ、チャットGPTの文章と人間の文章が異なる分布を示したほか、チャットGPTがバージョンアップ(GPT-3.5とGPT-4)しても両者の分布は変わらず、かつ人間の文章に近接することがなかったとされており、バージョンアップしても人間の文章と判別できる可能性を示唆しました。
さらに、機械学習(ランダムフォレスト)を用いて判別の正確性を検証した結果、読点の打ち方に着目した場合で93.5%、すべての文体的特徴を総合して分析した場合で100%の判別結果が得られたとされます。
チャットGPTをはじめ、生成AI(人工知能)は自然な文章を簡単に作成できるため、学術論文などの執筆に際した不正利用や大量のフェイクニュースによる世論操作などの懸念が高まっていますが、研究成果は生成AIの悪用の抑止にもつながることが期待されます。
- 論文名:Distinguishing ChatGPT(-3.5, -4)-generated and human-written papers through Japanese stylometric analysis
- 筆 者:Wataru Zaitsu ,Mingzhe Jin
- 掲載誌:PLOS ONE
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